震災支援タイトル

一般社団法人 東京都医療社会事業協会  No.49  2017.12.4

災害支援ニュース
つたえる
心をつたえる…様子をつたえる…事実をつたえる…手立てをつたえる…気持ちを伝える

  10月下旬に台風21号が発生しました。近畿地方を中心に甚大な被害が及び、一部地域において災害救助法並びに被災者生活再建支援法が適用されています。
 被災された方々には心よりお見舞い申し上げます。

[1]東京都への直接要望について

加藤 淳(災害支援対策委員会 委員長 牧田総合病院)

 当協会では毎年、東京都への直接要望を行っており、災害支援対策委員会としても、「広域避難者への継続的支援」「大規模災害に備えた連携構築」を中心に交渉を行っています。
 今年度は7月から9月にかけて理事数名で都庁に出向き、各政党に対し交渉を行いました。

災害支援対策委員会による要望内容
(1)大規模災害に備える人材育成と日常からの連携構築
  現実の災害時において、医療の枠組みのみならず、福祉・介護・衛生などの枠を超えた活動や連携が要求されます。私たちは、これまでの災害支援経験の中から、医師以外の派遣の遅れが明らかになり「医療従事者ネットワーク協議会」や「病院協会」等への働きかけ、備えの構築を進めてきましたが、まだ具体的準備は整っていません。災害発災時の医療ソーシャルワーカー派遣が瞬時に行えるよう、関係機関での協議、体制整備および人材育成を急ぎ行うことを要望致します。

(2)広域避難者の健康、人権に対する支援の継続、強化
 東日本大震災の避難者の6年の長きに渡り、安心が得られないまま、故郷への帰還が進まずにいる現実は、心身に大きな影響を与えていることが、医療機関に受診する避難者の生活から明らかになっています。帰還解除区域にある避難者にとっても、まだ医療機関や通院の手立てが不十分であるうちは帰れない現実もあります。元の居住地のみを基準とする医療費や居住地の支援打ち切りは、医療福祉の面からも人権にも関わる問題と言えます。一律の打ち切りをせず、個々の事情を勘案しての個別支援を進めることの出来る予算措置と対応する職員の配置をすることを国に求め、都独自の住宅費・医療費助成を続けることを求めます。

(3)広域避難者への相談・心理支援・情報提供の体制を整備・充実させる
 昨年度、予算額を提示しての回答をいただきましたが、避難者からの声として、情報が届かない地域もあり、申請しなかった為に給付を受けられなかったなどの例も聞いています。
 帰還できない、新たな就労や居住に結びつくことが出来ない、避難者であることに疲れてしまったなど、困難な事情を抱え、孤立化する方もまた時を追い出てきています。こうした方が、日常の生活圏で相談、支援を受けられる体制は、ますます必要になります。都立病院をはじめ、公的病院の医療相談室、医療ソーシャルワーカーの居る民間病院で、こうした避難者への情報提供や相談支援が出来る体制の整備を求めます。

 昨年の9月6日に行った交渉に関して、当協会からの要望事項に対する東京都からの回答を掲載致します。
 回答内容に関して、必ずしも当協会からの要望に答えているとは言い難いです。避難された方々の住宅状況や経済状況など、窮迫している現状との認識に隔たりを感じます。
 今後も東京都の医療ソーシャルワーカーの職能団体の責務として、常に声を上げ続けなければなりません。

昨年度の要望に対する東京都の回答
<要望事項>
(1)災害時対応や支援についての研修について
<都の回答>

  都は、区市町村を支援する立場から、区市町村の福祉保健及び防災担当者向けに災害時要配慮者対策に係る研修会を実施しており、避難行動要支援者名簿の制度など、災害対策基本法等の内容を周知しています。今後も、こうした取組により区市町村の要配慮者対策を支援してまいります。 <所管部課名> 福祉保健局総務部総務課
<要望事項>
(2)広域選難者の総合的支援の継続
① 都独自の住宅費助成を行うこと。
② 広域避難者への経済支援(医療費、一時就労支援など)を行うこと。
③ 広域避難者への相談“心理支援の体制を整備“充実させること。

<都の回答>

(①についての回答)
 都はこれまで、福島県からの自主避難者を対象に、都営住宅の募集において、入居要件の緩和や当選倍率の優遇、都営住宅の専用枠300戸の公募や東京都住宅供給公社の一般賃貸住宅への紹介やあっ旋等を行ってきています。新たな対応として、平成29年1月、東京都住宅供給公社において、一般賃貸住宅について自主避難者専用の相談 窓口を設置したほか、2月には自主避難者の方々を対象とした入居者の募集を実施しています。なお、家賃補助については、福島県が、民間賃貸住宅等での避難生活を継続することが必要な世帯への支援策として行うこととしています。 <所管部課名> 都市整備局住宅政策推進部住宅政策課
(②についての回答)
 都では、東京しごとセンターにおいて、都内での就業を希望する東日本大震災で被災された方等を対象に、就職活 動から就職後の支援までを行う「緊急就職支援事業上 を実施しており、被災者については、事業開始から平成27年度末までで、登録者数が982名、就職者数は717名となっています。 今後とも、引き続き、被災者の就職支援を実施してまいります。 <所管部課名> 産業労働局雇用就業部就業推進課

<都の回答>
(②及び③について回答。②については産業労働局からも回答します。①については都市整備局から回答します。)
 都は、避難者への各種支援や相談窓口の情報をホームページへの掲載や戸別郵送などで都内避難者へ提供するとともに、平成27年5月に「都内避難者相談拠点」を開設し、避難生活全般に関する相談対応を実施しています。また、被災県の要請に基づき応急仮設住宅を提供するとともに、東京しごとセンターに就職支援窓口を設けているほか、孤立化防止のための支援策にも取り組んでおり、引き続き、都内避難者が安心して生活できるよう支援していきます。
【29年度予算額 32,785千円】 <所管部課名> 総務局復興支援対策部都内避難者支援課
(③についての回答)
 都では、平成28年度より民間精神科病院をはじめとした関係機関が参加する災害時こころのケア連絡調整会議を開催し、大規模災害時の緊急時に、被災によって機能しなくなった精神医療の補填、被災した精神障害者や災害ストレスによる被災住民等への対応及び地域精神保健活動の支援等、専門的なこころのケアに関する対応が、超急性期から中長期まで円滑かつ迅速に行われるよう、災害時こころのケア体制の構築について検討しています。 <所管部課名> 福祉保健局障害者施策推進部精神保健医療課


[2] 第3回避難者と支援者による ふれあいフェスティバル

2017年10月1日(日)都立篠崎公園 芝山(芝生広場)
主催:広域避難者支援連絡会in東京
後援:福島県、宮城県、岩手県、東京都、江戸川区

加藤 淳(牧田総合病院)

 東日本大震災以降、多くの方々が現在も県外にて避難生活を余儀なくされています。そして避難先が広範囲であるために、避難された方々同士が交流する機会が難しくなっています。そのような現状をふまえ、関東に避難された方々がせめて年に1回は合流出来るよう、様々な支援団体や当事者団体により「ふれあいフェスティバル」が2015年より開催され、今年で3回目となります。
 以下、参加者の報告と感想を掲載致します。




2017年「震災5年の記録」を読みながら~

武山ゆかり(豊島区医師会)


 もう3回目になる「~避難者と支援者による~ふれあいフェスティバル」に参加してきました。都内ばかりでなく、山梨、埼玉、松戸などの遠方からの参加もあり、10地区からの貸し切りバスや、知人と相乗りの車や、避難して来ている親戚に会いにと、被災地からも上京して来られた方にもお会いしました。
 交流のテントの下では「アンタ、どこから?」と福島弁や懐かしい宮城のイントネーションが飛び交ってもいました。交流の広場を囲む出店のテントでは、野菜や石巻のワカメ、昆布なども売られ、支援者の社協や、ボランティアグループのトン汁やソーセージ、ポップコーンなどの提供もあり、参加支援者は支援募金をして、一緒に味わうこともできます。昨年末、子どもの甲状腺検査に協力した生協も、チョコバナナを提供「今年の検査の時も医療相談お願いします」と挨拶されました。
 復興の様子の写真や、5年間の生活が展示されたブースもあり、何冊かの資料もいただいてきました。今年の舞台でも、避難地区合唱団や、支援者バンドなど、賑やかでしたが、やはり、そっちのけで「どうしてたぁ~!」「あの時はね~」と、胸に溜った思いを語り合う方々の話の輪に入れていただきました。
「東京MSW」のベストを着て「医療ソーシャルワーカーをご存知ですか」のリーフレットを持って、各テントや、皆さんの輪を回りましたが、相談はありませんでした。福島・宮城の県職員や看護師さんのテントにも、相談があればいつでも呼んで下さいと声がけし、ねぎらい合いました。
 「茨城県に避難した者たちの想い」「暮らしの情報Book」など冊子が茨城県立大学教育学部に事務所を置くボランティア団体の手で作られ、こういう避難者支援のかたちも生まれているのかと感心しました。都協会事務所に置いてありますので、ぜひ見てください。
 昨年の練馬光が丘公園に続き、今年も強い日差しにいっぱいあたり、緑の中をアレコレ食べて歩き、お祭り気分も味わった参加でした。つい買ってしまった石巻市雄勝半島の海の幸と、福島の里いもと、浪江の方の「帰りたいね~」の言葉が、チョット重かったけど、支援者同士の交流も出来、充実した1日でした。


広域避難者大交流会 参加報告

小林 直毅(災害支援対策委員会 副委員長)

 約一時間しかいれませんでしたが、初めて参加して来ました。
 談笑、盆踊りと賑やかで、一見楽しそうなフェスティバルのようでしたが、聞こえ漏れる会話のなかには、「本当は元の場所に帰りたい」「この日を楽しみにしながら生活してきた」などのような避難者の生の声もありました! また、 終わり際には、また来年も会えるように頑張ろうねといいながら、帰る人たちもいました。
 年々、被災者に対する支援は縮小していき、自らの力で再建していかなければならないという状況があるが、被災者だけでなく、支援者や関心ある者がいて、それぞれの思いや状況をつたえる場となっており、今後も交流会が必要であると思いました。

[3] 災害研修・講演会のお知らせ 

 2018年1月26日(金)に当協会の災害研修・講演会を行います。会場の福祉財団ビルは、協会の事務局が在る建物で、大会議室は7階となります。
 講師として、熊本県医療ソーシャルワーカー協会の土肥 尚浩会長をお招きしています。甚大な被害が生じた熊本地震から1年半以上が経ちました。今回の講演において県協会として向き合わざるを得なかった災害と、全国からの支援を受け入れた経験をもとに、MSWとして伝えたいこと、そして私たちが今後取り組まなければならないことをお互いに考え、共に共有する場にしたいと望んでいます。
 土肥会長は「都協会会員の役に立てば」と勤務を休んで講演に来て下さることになりました。一人でも多くの都協会会員に聞いて頂きたい内容です。また、お聞きすることが支援に繋がる講演です。
 「まさか、自分の住むところが被災!」という体験を、共有しておくことが出来る希少な機会ですので、職場の方と連れ立ってのご参加を期待します。



[4] 熊本地震医療費自己負担免除終了について

 熊本地震により被災された方々の医療費自己負担免除が9月をもって終了となりました。免除における財政に関して、国からの財政支援が9月末で終了となるためです。
 報道においても、被災によって心身共に治療の継続が必要な方々において経済的負担に関する問題が取り上げられています。
 熊本地震に関して、震災の被害による直接死よりも、震災関連死によって亡くなられた方々の数が上回り、現在は3倍以上にその数が増えているのが現状です。
 本来、災害による健康被害に関して、その負担は心身共により長期化し、継続的な治療が求められるのではないでしょうか。
 なお、東日本大震災に関してですが、福島県の一部の地域において避難の解除が進められています。解除に伴って、医療費自己負担免除も終了となっていきます。県外に避難されている方々において、災害後に体調を崩し、現在も継続的に治療を続けている方々が多いです。免除打ち切りによる経済的負担の声も上がっています。
 都内に避難、または帰還を決めかねている方など心理的にも、経済的にも大きな負担の続く方が多いと聞きます。
 不安定な状況の中で、必要な時は私たち医療ソーシャルワーカーに確実に繋がるように、各病院に以前配布した「お知らせプレート」の職場での掲示や、地域の支援団体へのメッセージ発信などに努めて下さい。

 

[5] 今後の活動について

①子どもの甲状腺検診参加(生活協同組合パルシステム主催)
12月9日・10日・16日・17日

②災害とMSW振り返り会(仮)
日時:2018年2月23日(金)19:00 
会場:都協会事務局(福祉財団ビル5階)

③宮城県訪問と宮城県MSW協会との交流会
日時:2018年3月17日(土)~18日(日)

以上、詳細や申し込み方法に関しては、追って報告致します。

 

 「つたえる」では、会員の皆様からのご意見を募集しております。震災と、その支援に関しての経験、意見や想い、伝えたいことなど、是非お寄せ頂ければ幸いです。字数など、特に細かい制限はございません。
 ご寄稿下さる方は、都協会事務局にご連絡の程、よろしくお願い致します。
 過去のバックナンバーは当協会のホームページにて閲覧可能です。

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