2018.08.22
つたえる 2018.08.22 No.52
[1]大阪府北部地震 平成30年7月豪雨について
加藤 淳(災害支援対策委員会委員長 牧田総合病院)
6月18日に発生した大阪府北部における地震や、7月6日に発生した平成30年7月豪雨により、全国各地で甚大な被害が生じています。そして発災から1か月以上経った現在、多くの被災された方々が負担を強いられた生活を送られています。
被災された方々には心からお見舞い申し上げます。亡くなられた方々の御冥福を深くお祈り申し上げます。
当協会では災害発生直後より、関係団体と連絡を取り情報共有を図り、災害支援対策委員会を中心に、被災された県協会には適宜お見舞いと支援の申し出を伝えています。
具体的な支援活動については下記日本協会のニュースをお読みください。
次号では、大阪北部地震の被害調査に入られた都協会会員(大阪出身)の報告なども予定しています。
岡山、広島、愛媛などの被災県観光地への旅行支援など、個人でも可能な支援の必要も報じられています。様々な災害地支援を意識しながら、見守っていきたいと思います。
加藤 淳(災害支援対策委員会委員長 牧田総合病院)
【1】日本医療社会福祉協会の対応
日本医療社会福祉協会では7月10日に災害対策本部を立ち上げました。当面の活動に関して、以下、ホームページより抜粋します。
http://www.jaswhs.or.jp/guide/info_detail.php?@DB_ID@=366
(日本医療社会福祉協会のホームページより)
「平成30年7月豪雨被害」への支援について
会員のみなさまへ
今回の豪雨により被災された皆様へ心よりお見舞い申し上げます。
本会では、この度の被災者への具体的支援活動を開始すべく7月10日付で 早坂由美子会長を本部長に災害対策本部を協会事務局内に設置いたしました。
当面の活動としましては、
1. 会員の安否確認
2. 会員への支援内容検討
3. 被災県医療ソーシャルワーカー協会等との情報交換
4. 被災地支援のための募金呼びかけ を行いますが、状況に応じ逐次変更を協議いたします。支援計画を変更した場合は 改めてホームページにて報告させていただきます。
会員の皆様にご理解を賜りますとともに以下につきましてご協力をお願いいた します。
≪被災された会員のみなさま≫
被災された状況を確認させて頂きたく思います。また、お知り合いの会員で被災 されている方の状況をご存知の方は大変恐縮ですが、事務局までご連絡ください。
電話:03-5366-1057
e-mail: jaswhc@d3.dion.ne.jp
≪募金活動について≫
下記の郵貯銀行口座に送金をお願いいたします。
口座名義:日本MSW協会災害支援金
口座番号:00100-1-89515
支店名 :〇一九(ゼロイチキユウ)店(019)
口座種別:当座
※振込用紙にお通信欄に「平成30年7月豪雨」と他の寄付と区別するために明記してください。
【2】各県の状況に関して
大阪北部地震に関して、7月中旬から8月初旬にかけて、茨木市や寺田町において避難者実態調査が行われており、大阪医療ソーシャルワーカー協会をはじめ、関西地区のMSWが多数参加されています。
詳細に関して、大阪医療ソーシャルワーカー協会のFacebookにて活動報告が掲載されています。
https://www.facebook.com/osakamsw
岡山県においてはDWAT(災害派遣福祉チーム)による支援活動に県のMSWが関わっています。
その他広島県など、状況に応じて県外からの支援も必要とされる可能性があります。
要請が入り次第、会員の皆様に御連絡させて頂きます。
【3】都内近郊に起こりえる大規模災害に備えて
全国各地で地震や台風など、様々な災害が頻発しています。8月以降も山梨県など各地で台風による被害が勃発しています。都内近郊において大規模災害が起こりえることに、より強い危機感を持たなくてはなりません。
私たち一人一人が、所属している職場や自宅がある自治体の「地域防災計画策定」や「災害時要配慮者支援の取り組み」を平常時から確認していく必要があります。
災害時の協会会員間の連絡体制をより強固にするため、災害支援対策委員会を中心に様々な対策を協議しています。
今年度に入って理事を中心に伝達訓練を数回行っており、10月には理事と委員会を中心とした大規模災害時の伝達訓練を予定しています。同じく秋頃には東京都と東京都社会福祉協議会による「東京都災害福祉広域支援ネットワーク」の図上訓練に当協会も参画します。
各ブロックと協会との連絡体制に関しても、平常時から取り組みを進めていきます。災害時行動ガイドラインを策定したことから、災害支援対策委員会のメンバーが各ブロックに出向き、世話人などの担当者の方々と打ち合わせを行っていきます。
今後の状況により、多くの会員の力が必要とされます。何卒よろしくお願い致します。
~~参考情報~~
〇「水害があったときに~浸水からの生活再建の手引き~」
「震災がつなぐ全国ネットワーク」という専門家の団体で作成されました。2018年3月の住家の被害認定の運用指針の改訂に合わせ、7月に第3版が発行されています。
一般的な手順が記されているチラシは、以下のホームページにてダウンロード可能です。※詳細な冊子に関しては、取り寄せが必要です。※当協会の事務局にも1部ございます。 http://blog.canpan.info/shintsuna/archive/1420
〇「豪雨災害に備えるハンドブック」
茨城NPOセンター「コモンズ」が、平成27年の常総市の水害の体験と支援活動の経験を基に作成されたハンドブックです。
団体のホームページにてダウンロード可能です。
http://www.npocommons.org/topics/suigai-guide.html
〇「東京ボランティア・市民活動センター」「全国社会福祉協議会」による情報
東京都社会福祉協議会が運営している「東京ボランティア・市民活動センター」や、「全国社会福祉協議会」のホームページには災害関連の情報が掲載されています。
災害ボランティアだけではなく、官公庁や被災された自治体からの情報、義援金の情報等も発信され、随時情報が更新されています。
「東京ボランティア・市民活動センター」https://www.tvac.or.jp/news/50240
「全国社会福祉協議会」http://www.shakyo.or.jp/saigai/shienkatsudou/h30flood/index.html
〇「内閣府 防災情報のページ」による情報
各地の被害状況や政府の対応、「災害救助法」や「被災者生活再建支援法」の提供状況などの情報が掲載されています。
http://www.bousai.go.jp/index.html
〇「被災者支援チェックリスト」関東弁護士連合会作成
災害時の必要最低限の制度が、コンパクトに掲載されており、折りたたむとポケットサイズになります。あらかじめ印刷し、財布などに携帯しておくことをお勧めします。
http://naganokai.com/sien/
以上の情報は、当協会ホームページの「災害支援情報掲示板」にも掲載しています。掲示板では、今後も新たな情報を追加してゆきます。
http://www.tokyo-msw.com/cgi-bin/tsubuyaki/patio.cgi
前回のつたえるにも掲載したコラムですが、今後の台風や豪雨の被害に関連する情報なので、再度掲載致します。
災害の制度・仕組みを理解する
台風・集中豪雨の水害対策」の情報を事前に確認しよう
小林 直毅(災害支援対策委員会 副委員長)
平成26年(2014年)8月豪雨による広島土砂災害、平成27年9月関東・東北豪雨の鬼怒川の決壊、平成28年台風による水害は、皆様の記憶に新しいと思います。
近年、集中豪雨やゲリラ豪雨により、いつ自分がいる地域が浸水、土砂災害などの災害に遭うという可能性がだれにでもある状況といえます。これからの梅雨・台風の時期の前に自分の地域についてどのような危険があるのかハザードマップ等の確認を行うことも防災・減災につながります。ハザードマップは、各自治体のホームページで確認することができます。
また、ゲリラ豪雨等の際には、降雨量や河川水位情報や注意報・警報・特別警報を自ら入手し、備えるもしくは避難準備を行うことも防災・減災につながります。
情報の入手する方法としては、
〇東京都水防災総合情報システム(建設局河川部提供)
http://www.kasen-suibo.metro.tokyo.jp/im/tsim0101g.html
〇気象庁のホームページ http://www.jma.go.jp/jma/index.html
〇各自治体の防災情報
があげられます。
是非この機会に、居住地、勤務地、通勤・通学の地域の情報について確かめ、今すぐ始められる防災・減災活動のきっかけの一つになればと願っています。ひとり一人の行動によって、守れる命、助けられる命があると思います
[2]「東京都災害福祉広域支援ネットワーク」に関して東京都と 協定を締結しました
加藤 淳(災害支援対策委員会委員長 牧田総合病院)
2018年5月、厚生労働省より「災害時の福祉支援体制の整備に向けたガイドライン」が策定されました。
災害発生により、災害時要配慮者が、長期間に及ぶ避難生活を余儀なくされ、その結果、生活機能の低下、要介護度の重度化などの二次被害が生じます。避難生活から安定的な日常生活へと円滑に移行するためには、早期の段階から福祉や医療ニーズを的確に把握すると共に、そのニーズに可能な限り対応し、生活機能の維持を支援していく体制の構築をしていかなくてはなりません。
東京都では大規模災害の発生を想定し、「東京都災害福祉広域支援ネットワーク」を構築し、災害対策の強化を図ることを目指しています。
当協会は2012年10月から東京都社会福祉協議会からの呼びかけに応じて、他の職能団体(東京都社会福祉士会、東京都精神保健福祉士協会、東京都介護福祉士会、東京都介護支援専門員研究協議会)と共に参画し、東京都で、また他県で起こると想定した大規模災害への備えを協議、検討してきました。
協議を重ねた大きな結果として、今年度、災害時の支援派遣協力に関して、各職能団体と共に東京都と協定の締結を行いました。
災害発生後、東京都からの要請に応じ、避難所などに支援派遣の協力を図ることとなります。
大規模災害に備え、今後も各関係機関や団体との連絡体制や連携、相互支援のあり方など、様々な課題に取り組んでいく必要があり、今後も東京都や各関係機関と引き続き協議、検討を重ねていきます。
発災時に、都民の命と健康を守る緊急ニーズに対応できるように協会の支援体制の強化も推し進めていきますので、御協力の程、よろしくお願い致します。
※「東京都災害福祉広域支援ネットワーク」の詳細に関して、東京都社会福祉協議会のホームページに掲載されています。
https://www.tcsw.tvac.or.jp/chosa/documents/29saigaihukushinetwork.pdf
[3] 宮城県医療ソーシャルワーカー協会合同研修・訪問報告
山我 香子(災害支援対策委員会 三宿病院)
平成30年3月17日から18日まで、災害支援対策委員会委員、都協会会員の計9名で宮城県石巻市を訪問しました。当協会による宮城県訪問は、今回で6回目となります。
行きの新幹線では、2011年11月の初回から参加されている会員の方から都協会が宮城県訪問に至った経緯や当時の様子を伺い、研修前に今回の訪問の意味を考える良い時間となりました。
1日目は石巻赤十字病院で行われた宮城県医療ソーシャルワーカー協会定例研修会に参加させて頂き、避難所運営シミュレーション(HUG)を行いました。避難所運営が必要になった時、どう対応するか。6-7名のグループに分かれ、避難者の年齢・性別・個々が抱えた事情が書かれたカードを避難所の図面を使いながら配置し、避難所を立ち上げていきました。
皆で様々な意見を出しあい受け止め、良いと思う方向へ進めていかなくてはなりません。
決められた時間の中で、自分の考えを的確に伝え、自分とは異なる意見に耳を傾けられること、恐縮することなく話せる場の雰囲気が重要だと感じました。
災害を意識するきっかけのひとつとして、今後、都協会でも行えるよう働きかけていけたらと思っています。
研修最後に、講師の方から「家族ときちんと安否確認がとれるようにしているか。避難場所を決めているか」と質問されました。この方は災害前に決めていた避難場所に家族が避難されたのに被害に遭われてしまったそうです。「亡くならない所に避難して下さい」と話があり、とても考えさせられる言葉でした。
2日目は、被災後、1年半前に開院した石巻市立病院を会場に、「石巻市立病院の再建後の取り組みと課題」、「日本協会石巻現地災害支援チームの活動の現状」、「都協会から災害支援対策の取り組み」について報告がありました。その後、宮城県MSW協会の方々と共に、日和山をボランティアガイドの方の説明を伺いながら歩きました。
津波が到達した水位の看板がいくつかあり、その高さに被害の大きさを感じました。整備された土地、新しく建てられた家屋や団地。新たな街並みが作られている中に、災害時のまま壊れた家がポツンと残されている光景。「復興」という言葉が当たり前のように言われていますが、復興とは何だろうと感じました。
7年目の景色を忘れずに、これからも見続けていくこと、思いを語れる場を作っていけるよう活動していきたいと思います。
参加者の感想
青田薫枝(順天堂大学医学部附属順天堂医院)
病気よりも予想することの不可能な災害という出来事に対して、人は何が出来るのか、ソーシャルワーカーという職種として何が出来るのか、を感じ、考える機会になるのではないかと思い、今回応募、訪問させて頂いた。
7年という月日が経って今回石巻市に初めて訪問した。石巻市も海沿いの町はまだ開発中で砂地が広がっていたが、少し内陸に入るときれいな家が多く建ち並ぶ場所があったり、元気いちばは沢山のお客さんで賑わっていた。7年前の震災直後の写真に広がるその街と比較すると、東北の人々の、復興に対する底力の大きさを感じた。
医療ソーシャルワーカーの日頃の業務についても、震災後、震災のあった地域だからこその実情を宮城県協会のソーシャルワーカーの方々から伺い知ることができた。復興を進めるに際して箱ものを作るために出稼ぎに来ている作業員の職業の方の入院をきっかけとして、ソーシャルワーカーが援助するケースがあったことを伺った。被災地外でホームレスになるギリギリの生活をしていたところへ、食事も住む場所も用意してあげるから、という甘い声を街でかけられそのまま宮城に来て、6畳程度の部屋に3人位で暮らし、安い給料、無保険、体調を崩したら解雇、という悪待遇で出稼ぎに来ていた人達が少なからずいたようだった。復興を支える出稼ぎの作業員の方達の生活実態は過酷で、そして過酷な労働のもとに病気を患うことになった出稼ぎ労働者の生活を保障する費用もまた被災地の歳出であるという実情と、おそらく出稼ぎ労働者を巧みな言葉で無保証の元に雇いいれる会社がこうも存在しているという事実に、なんとも言えぬ矛盾を感じざるを得なかった。
1日目のHUGの研修では、避難所シミュレーションを行った。実際に災害が発生した時に、どう避難所のマネジメントを行うかをタイムリーにシミュレーションしていくプログラムだった。
避難所である学校の教室や体育館、校庭をどう活用し避難場所として区分けするか。認知症の方を含む一家が避難所に来た時にはどの場所にスペースを確保して貰うことが良いか。トイレがつまってしまったがどのようにアナウンスしたら良いか。ということをタイムリーに対処していく、シミュレーションであった。
実際行ってみて、1つ決断を下すのに、自身の中にある複数の選択肢と、他の人の意見を聞くことで増える選択肢とで、迷いが毎回あり、そして様々な背景や要素から即座に判断を迫られる困難さと、また自身の無力さを痛感した。
被災地の方々が正直言えば思い出したくないという気持ちがありつつも当時のことを思い出し伝えてくださったのは、今後起こるかもしれない地震・津波による被害を最小限におさえたい、奪われる命を1人でも減らしたい、という思いゆえであるのだろうと思う。そして、東日本大震災を限定的な被災地としては体験していない私達都協会のワーカーに対して密度の濃い研修の機会をつくってくださろうとする理由を質問した私に、「都協会の方々は、震災後から寄り添ってくださっていたからかな」と仰っていた宮城県協会の方の言葉も印象的だった。
最後に、畠山会長をはじめとする宮城県協会の方々、HUGを企画してくださった石巻赤十字病院、赤十字病院のスタッフの方々、そして災害支援対策委員会を中心とする都協会の方々、皆様の計り知れぬご尽力により、災害発生時、改めて1人の人間として、ソーシャルワーカーとして、何が出来るのか、そして出来ることを増やすために何を心構えておくべきなのか、を考える機会を多く頂いた。
心より感謝申し上げたい。
[4] 災害支援対策ワークショップ① 「振り返り会」
当協会では東日本大震災発生の2011年から被災地を訪問し、様々なことを学び、直接自分たちの目で現地を見て感じたことを、会員に「つたえる」という形で活動を行ってきました。
今年も3月に宮城を訪問し、石巻赤十字病院でHUG(避難所運営シュミレーション)に参加させて頂いたり、石巻の日和山などにも足を運びました。
初めて参加したメンバーからは「復興とはなんだろう?復興の長期化ゆえの課題も出てきている」という声があがりました。
今回の振り返り会は、この7年の間に被災地を訪問された方に当時の話を伺ったり、最近の様子や課題を話したり、訪問していなくても関心を持っている方に参加して頂いて「自分にも何か出来るか」と一緒に考える機会になればと思っています。
他人事ではなく自分の事として考える時間を共に過ごしてみませんか
皆様の参加をお待ちしています!
[開催日時]2018年8月31日(金)19時~
申込締切後の2018年8月17日(金)以降も申し込み可能です。
[開催場所]都協会事務局(予定) TEL03-5944-8912
(豊島区南大塚3-43-11福祉財団ビル5階)
※参加者が多い場合、福祉財団ビル7階の会議室も検討しています。
※裏口からの出入りになります。扉を開けますので、事務局へご連絡下さい。
[申込方法]FAXにて都協会事務所に送付
[5] 「災害福祉支援活動基礎研修2018」
(日本医療社会福祉協会主催)のお知らせ
日本医療社会福祉協会主催による「災害福祉支援活動基礎研修」が今年度も開催されます。
東京会場は9月29日(土)、30日(日)となります。申込みは先着順で、定員に達し次第、受付終了となります。例年、早い段階で定員に達しています。参加希望の方は早めの申し込みが必要です。
会場や申し込み方法の詳細は、日本医療社会福祉協会のホームページをご確認ください。
「つたえる」では、会員の皆様からのご意見を募集しております。震災と、その支援に関しての経験、意見や想い、伝えたい
加藤 淳(災害支援対策委員会委員長 牧田総合病院)
6月18日に発生した大阪府北部における地震や、7月6日に発生した平成30年7月豪雨により、全国各地で甚大な被害が生じています。そして発災から1か月以上経った現在、多くの被災された方々が負担を強いられた生活を送られています。
被災された方々には心からお見舞い申し上げます。亡くなられた方々の御冥福を深くお祈り申し上げます。
当協会では災害発生直後より、関係団体と連絡を取り情報共有を図り、災害支援対策委員会を中心に、被災された県協会には適宜お見舞いと支援の申し出を伝えています。
具体的な支援活動については下記日本協会のニュースをお読みください。
次号では、大阪北部地震の被害調査に入られた都協会会員(大阪出身)の報告なども予定しています。
岡山、広島、愛媛などの被災県観光地への旅行支援など、個人でも可能な支援の必要も報じられています。様々な災害地支援を意識しながら、見守っていきたいと思います。
加藤 淳(災害支援対策委員会委員長 牧田総合病院)
【1】日本医療社会福祉協会の対応
日本医療社会福祉協会では7月10日に災害対策本部を立ち上げました。当面の活動に関して、以下、ホームページより抜粋します。
http://www.jaswhs.or.jp/guide/info_detail.php?@DB_ID@=366
(日本医療社会福祉協会のホームページより)
「平成30年7月豪雨被害」への支援について
会員のみなさまへ
今回の豪雨により被災された皆様へ心よりお見舞い申し上げます。
本会では、この度の被災者への具体的支援活動を開始すべく7月10日付で 早坂由美子会長を本部長に災害対策本部を協会事務局内に設置いたしました。
当面の活動としましては、
1. 会員の安否確認
2. 会員への支援内容検討
3. 被災県医療ソーシャルワーカー協会等との情報交換
4. 被災地支援のための募金呼びかけ を行いますが、状況に応じ逐次変更を協議いたします。支援計画を変更した場合は 改めてホームページにて報告させていただきます。
会員の皆様にご理解を賜りますとともに以下につきましてご協力をお願いいた します。
≪被災された会員のみなさま≫
被災された状況を確認させて頂きたく思います。また、お知り合いの会員で被災 されている方の状況をご存知の方は大変恐縮ですが、事務局までご連絡ください。
電話:03-5366-1057
e-mail: jaswhc@d3.dion.ne.jp
≪募金活動について≫
下記の郵貯銀行口座に送金をお願いいたします。
口座名義:日本MSW協会災害支援金
口座番号:00100-1-89515
支店名 :〇一九(ゼロイチキユウ)店(019)
口座種別:当座
※振込用紙にお通信欄に「平成30年7月豪雨」と他の寄付と区別するために明記してください。
【2】各県の状況に関して
大阪北部地震に関して、7月中旬から8月初旬にかけて、茨木市や寺田町において避難者実態調査が行われており、大阪医療ソーシャルワーカー協会をはじめ、関西地区のMSWが多数参加されています。
詳細に関して、大阪医療ソーシャルワーカー協会のFacebookにて活動報告が掲載されています。
https://www.facebook.com/osakamsw
岡山県においてはDWAT(災害派遣福祉チーム)による支援活動に県のMSWが関わっています。
その他広島県など、状況に応じて県外からの支援も必要とされる可能性があります。
要請が入り次第、会員の皆様に御連絡させて頂きます。
【3】都内近郊に起こりえる大規模災害に備えて
全国各地で地震や台風など、様々な災害が頻発しています。8月以降も山梨県など各地で台風による被害が勃発しています。都内近郊において大規模災害が起こりえることに、より強い危機感を持たなくてはなりません。
私たち一人一人が、所属している職場や自宅がある自治体の「地域防災計画策定」や「災害時要配慮者支援の取り組み」を平常時から確認していく必要があります。
災害時の協会会員間の連絡体制をより強固にするため、災害支援対策委員会を中心に様々な対策を協議しています。
今年度に入って理事を中心に伝達訓練を数回行っており、10月には理事と委員会を中心とした大規模災害時の伝達訓練を予定しています。同じく秋頃には東京都と東京都社会福祉協議会による「東京都災害福祉広域支援ネットワーク」の図上訓練に当協会も参画します。
各ブロックと協会との連絡体制に関しても、平常時から取り組みを進めていきます。災害時行動ガイドラインを策定したことから、災害支援対策委員会のメンバーが各ブロックに出向き、世話人などの担当者の方々と打ち合わせを行っていきます。
今後の状況により、多くの会員の力が必要とされます。何卒よろしくお願い致します。
~~参考情報~~
〇「水害があったときに~浸水からの生活再建の手引き~」
「震災がつなぐ全国ネットワーク」という専門家の団体で作成されました。2018年3月の住家の被害認定の運用指針の改訂に合わせ、7月に第3版が発行されています。
一般的な手順が記されているチラシは、以下のホームページにてダウンロード可能です。※詳細な冊子に関しては、取り寄せが必要です。※当協会の事務局にも1部ございます。 http://blog.canpan.info/shintsuna/archive/1420
〇「豪雨災害に備えるハンドブック」
茨城NPOセンター「コモンズ」が、平成27年の常総市の水害の体験と支援活動の経験を基に作成されたハンドブックです。
団体のホームページにてダウンロード可能です。
http://www.npocommons.org/topics/suigai-guide.html
〇「東京ボランティア・市民活動センター」「全国社会福祉協議会」による情報
東京都社会福祉協議会が運営している「東京ボランティア・市民活動センター」や、「全国社会福祉協議会」のホームページには災害関連の情報が掲載されています。
災害ボランティアだけではなく、官公庁や被災された自治体からの情報、義援金の情報等も発信され、随時情報が更新されています。
「東京ボランティア・市民活動センター」https://www.tvac.or.jp/news/50240
「全国社会福祉協議会」http://www.shakyo.or.jp/saigai/shienkatsudou/h30flood/index.html
〇「内閣府 防災情報のページ」による情報
各地の被害状況や政府の対応、「災害救助法」や「被災者生活再建支援法」の提供状況などの情報が掲載されています。
http://www.bousai.go.jp/index.html
〇「被災者支援チェックリスト」関東弁護士連合会作成
災害時の必要最低限の制度が、コンパクトに掲載されており、折りたたむとポケットサイズになります。あらかじめ印刷し、財布などに携帯しておくことをお勧めします。
http://naganokai.com/sien/
以上の情報は、当協会ホームページの「災害支援情報掲示板」にも掲載しています。掲示板では、今後も新たな情報を追加してゆきます。
http://www.tokyo-msw.com/cgi-bin/tsubuyaki/patio.cgi
前回のつたえるにも掲載したコラムですが、今後の台風や豪雨の被害に関連する情報なので、再度掲載致します。
災害の制度・仕組みを理解する
台風・集中豪雨の水害対策」の情報を事前に確認しよう
小林 直毅(災害支援対策委員会 副委員長)
平成26年(2014年)8月豪雨による広島土砂災害、平成27年9月関東・東北豪雨の鬼怒川の決壊、平成28年台風による水害は、皆様の記憶に新しいと思います。
近年、集中豪雨やゲリラ豪雨により、いつ自分がいる地域が浸水、土砂災害などの災害に遭うという可能性がだれにでもある状況といえます。これからの梅雨・台風の時期の前に自分の地域についてどのような危険があるのかハザードマップ等の確認を行うことも防災・減災につながります。ハザードマップは、各自治体のホームページで確認することができます。
また、ゲリラ豪雨等の際には、降雨量や河川水位情報や注意報・警報・特別警報を自ら入手し、備えるもしくは避難準備を行うことも防災・減災につながります。
情報の入手する方法としては、
〇東京都水防災総合情報システム(建設局河川部提供)
http://www.kasen-suibo.metro.tokyo.jp/im/tsim0101g.html
〇気象庁のホームページ http://www.jma.go.jp/jma/index.html
〇各自治体の防災情報
があげられます。
是非この機会に、居住地、勤務地、通勤・通学の地域の情報について確かめ、今すぐ始められる防災・減災活動のきっかけの一つになればと願っています。ひとり一人の行動によって、守れる命、助けられる命があると思います
[2]「東京都災害福祉広域支援ネットワーク」に関して東京都と 協定を締結しました
加藤 淳(災害支援対策委員会委員長 牧田総合病院)
2018年5月、厚生労働省より「災害時の福祉支援体制の整備に向けたガイドライン」が策定されました。
災害発生により、災害時要配慮者が、長期間に及ぶ避難生活を余儀なくされ、その結果、生活機能の低下、要介護度の重度化などの二次被害が生じます。避難生活から安定的な日常生活へと円滑に移行するためには、早期の段階から福祉や医療ニーズを的確に把握すると共に、そのニーズに可能な限り対応し、生活機能の維持を支援していく体制の構築をしていかなくてはなりません。
東京都では大規模災害の発生を想定し、「東京都災害福祉広域支援ネットワーク」を構築し、災害対策の強化を図ることを目指しています。
当協会は2012年10月から東京都社会福祉協議会からの呼びかけに応じて、他の職能団体(東京都社会福祉士会、東京都精神保健福祉士協会、東京都介護福祉士会、東京都介護支援専門員研究協議会)と共に参画し、東京都で、また他県で起こると想定した大規模災害への備えを協議、検討してきました。
協議を重ねた大きな結果として、今年度、災害時の支援派遣協力に関して、各職能団体と共に東京都と協定の締結を行いました。
災害発生後、東京都からの要請に応じ、避難所などに支援派遣の協力を図ることとなります。
大規模災害に備え、今後も各関係機関や団体との連絡体制や連携、相互支援のあり方など、様々な課題に取り組んでいく必要があり、今後も東京都や各関係機関と引き続き協議、検討を重ねていきます。
発災時に、都民の命と健康を守る緊急ニーズに対応できるように協会の支援体制の強化も推し進めていきますので、御協力の程、よろしくお願い致します。
※「東京都災害福祉広域支援ネットワーク」の詳細に関して、東京都社会福祉協議会のホームページに掲載されています。
https://www.tcsw.tvac.or.jp/chosa/documents/29saigaihukushinetwork.pdf
[3] 宮城県医療ソーシャルワーカー協会合同研修・訪問報告
山我 香子(災害支援対策委員会 三宿病院)
平成30年3月17日から18日まで、災害支援対策委員会委員、都協会会員の計9名で宮城県石巻市を訪問しました。当協会による宮城県訪問は、今回で6回目となります。
行きの新幹線では、2011年11月の初回から参加されている会員の方から都協会が宮城県訪問に至った経緯や当時の様子を伺い、研修前に今回の訪問の意味を考える良い時間となりました。
1日目は石巻赤十字病院で行われた宮城県医療ソーシャルワーカー協会定例研修会に参加させて頂き、避難所運営シミュレーション(HUG)を行いました。避難所運営が必要になった時、どう対応するか。6-7名のグループに分かれ、避難者の年齢・性別・個々が抱えた事情が書かれたカードを避難所の図面を使いながら配置し、避難所を立ち上げていきました。
皆で様々な意見を出しあい受け止め、良いと思う方向へ進めていかなくてはなりません。
決められた時間の中で、自分の考えを的確に伝え、自分とは異なる意見に耳を傾けられること、恐縮することなく話せる場の雰囲気が重要だと感じました。
災害を意識するきっかけのひとつとして、今後、都協会でも行えるよう働きかけていけたらと思っています。
研修最後に、講師の方から「家族ときちんと安否確認がとれるようにしているか。避難場所を決めているか」と質問されました。この方は災害前に決めていた避難場所に家族が避難されたのに被害に遭われてしまったそうです。「亡くならない所に避難して下さい」と話があり、とても考えさせられる言葉でした。
2日目は、被災後、1年半前に開院した石巻市立病院を会場に、「石巻市立病院の再建後の取り組みと課題」、「日本協会石巻現地災害支援チームの活動の現状」、「都協会から災害支援対策の取り組み」について報告がありました。その後、宮城県MSW協会の方々と共に、日和山をボランティアガイドの方の説明を伺いながら歩きました。
津波が到達した水位の看板がいくつかあり、その高さに被害の大きさを感じました。整備された土地、新しく建てられた家屋や団地。新たな街並みが作られている中に、災害時のまま壊れた家がポツンと残されている光景。「復興」という言葉が当たり前のように言われていますが、復興とは何だろうと感じました。
7年目の景色を忘れずに、これからも見続けていくこと、思いを語れる場を作っていけるよう活動していきたいと思います。
参加者の感想
青田薫枝(順天堂大学医学部附属順天堂医院)
病気よりも予想することの不可能な災害という出来事に対して、人は何が出来るのか、ソーシャルワーカーという職種として何が出来るのか、を感じ、考える機会になるのではないかと思い、今回応募、訪問させて頂いた。
7年という月日が経って今回石巻市に初めて訪問した。石巻市も海沿いの町はまだ開発中で砂地が広がっていたが、少し内陸に入るときれいな家が多く建ち並ぶ場所があったり、元気いちばは沢山のお客さんで賑わっていた。7年前の震災直後の写真に広がるその街と比較すると、東北の人々の、復興に対する底力の大きさを感じた。
医療ソーシャルワーカーの日頃の業務についても、震災後、震災のあった地域だからこその実情を宮城県協会のソーシャルワーカーの方々から伺い知ることができた。復興を進めるに際して箱ものを作るために出稼ぎに来ている作業員の職業の方の入院をきっかけとして、ソーシャルワーカーが援助するケースがあったことを伺った。被災地外でホームレスになるギリギリの生活をしていたところへ、食事も住む場所も用意してあげるから、という甘い声を街でかけられそのまま宮城に来て、6畳程度の部屋に3人位で暮らし、安い給料、無保険、体調を崩したら解雇、という悪待遇で出稼ぎに来ていた人達が少なからずいたようだった。復興を支える出稼ぎの作業員の方達の生活実態は過酷で、そして過酷な労働のもとに病気を患うことになった出稼ぎ労働者の生活を保障する費用もまた被災地の歳出であるという実情と、おそらく出稼ぎ労働者を巧みな言葉で無保証の元に雇いいれる会社がこうも存在しているという事実に、なんとも言えぬ矛盾を感じざるを得なかった。
1日目のHUGの研修では、避難所シミュレーションを行った。実際に災害が発生した時に、どう避難所のマネジメントを行うかをタイムリーにシミュレーションしていくプログラムだった。
避難所である学校の教室や体育館、校庭をどう活用し避難場所として区分けするか。認知症の方を含む一家が避難所に来た時にはどの場所にスペースを確保して貰うことが良いか。トイレがつまってしまったがどのようにアナウンスしたら良いか。ということをタイムリーに対処していく、シミュレーションであった。
実際行ってみて、1つ決断を下すのに、自身の中にある複数の選択肢と、他の人の意見を聞くことで増える選択肢とで、迷いが毎回あり、そして様々な背景や要素から即座に判断を迫られる困難さと、また自身の無力さを痛感した。
被災地の方々が正直言えば思い出したくないという気持ちがありつつも当時のことを思い出し伝えてくださったのは、今後起こるかもしれない地震・津波による被害を最小限におさえたい、奪われる命を1人でも減らしたい、という思いゆえであるのだろうと思う。そして、東日本大震災を限定的な被災地としては体験していない私達都協会のワーカーに対して密度の濃い研修の機会をつくってくださろうとする理由を質問した私に、「都協会の方々は、震災後から寄り添ってくださっていたからかな」と仰っていた宮城県協会の方の言葉も印象的だった。
最後に、畠山会長をはじめとする宮城県協会の方々、HUGを企画してくださった石巻赤十字病院、赤十字病院のスタッフの方々、そして災害支援対策委員会を中心とする都協会の方々、皆様の計り知れぬご尽力により、災害発生時、改めて1人の人間として、ソーシャルワーカーとして、何が出来るのか、そして出来ることを増やすために何を心構えておくべきなのか、を考える機会を多く頂いた。
心より感謝申し上げたい。
[4] 災害支援対策ワークショップ① 「振り返り会」
当協会では東日本大震災発生の2011年から被災地を訪問し、様々なことを学び、直接自分たちの目で現地を見て感じたことを、会員に「つたえる」という形で活動を行ってきました。
今年も3月に宮城を訪問し、石巻赤十字病院でHUG(避難所運営シュミレーション)に参加させて頂いたり、石巻の日和山などにも足を運びました。
初めて参加したメンバーからは「復興とはなんだろう?復興の長期化ゆえの課題も出てきている」という声があがりました。
今回の振り返り会は、この7年の間に被災地を訪問された方に当時の話を伺ったり、最近の様子や課題を話したり、訪問していなくても関心を持っている方に参加して頂いて「自分にも何か出来るか」と一緒に考える機会になればと思っています。
他人事ではなく自分の事として考える時間を共に過ごしてみませんか
皆様の参加をお待ちしています!
[開催日時]2018年8月31日(金)19時~
申込締切後の2018年8月17日(金)以降も申し込み可能です。
[開催場所]都協会事務局(予定) TEL03-5944-8912
(豊島区南大塚3-43-11福祉財団ビル5階)
※参加者が多い場合、福祉財団ビル7階の会議室も検討しています。
※裏口からの出入りになります。扉を開けますので、事務局へご連絡下さい。
[申込方法]FAXにて都協会事務所に送付
[5] 「災害福祉支援活動基礎研修2018」
(日本医療社会福祉協会主催)のお知らせ
日本医療社会福祉協会主催による「災害福祉支援活動基礎研修」が今年度も開催されます。
東京会場は9月29日(土)、30日(日)となります。申込みは先着順で、定員に達し次第、受付終了となります。例年、早い段階で定員に達しています。参加希望の方は早めの申し込みが必要です。
会場や申し込み方法の詳細は、日本医療社会福祉協会のホームページをご確認ください。
「つたえる」では、会員の皆様からのご意見を募集しております。震災と、その支援に関しての経験、意見や想い、伝えたい