一般社団法人 東京都医療ソーシャルワーカー協会  No.59  2022.3

つたえる

 

[1] 2021年度災害支援対策委員会

冨士川泰裕(康明会病院)

 今年度加藤委員より委員長を引き継ぎました冨士川泰裕と申します。この1年間は加藤委員のサポートを受けながら活動してまいりました。
 私が災害支援対策委員会に入った理由は、都協会の企画で2011年東日本大震災後の現地視察に参加したのがきっかけです。この年はMSW1年目ということもあり、とても心に刻まれています。視察後、この震災が起こった意味を考え、何かMSWとして出来ることはないかを考えさせられ今に至っています。
 委員会のテーマは「決して忘れないこと、伝えていくこと、継続していくこと」です。このテーマを継承しつつも、いつ起こるかわからない災害対策に取り組んでいきたいと思います。災害支援は会員皆様の協力なしには成り立ちませんのでご協力よろしくお願いいたします。

[2]伝達訓練『災害を考える日』に参加して想うこと

山本明奈(東京労災病院)

 災害支援対策委員会は、2011年の東日本大震災をきっかけに、被災された方々への支援を目的として発足した。「職能団体として出来ること」を常に念頭に、被災された方々への支援と災害に対する備えを目的として活動している。
 その備えの一環として委員と当協会理事を中心に数年にわたり、伝達訓練を実施している。伝達訓練では、東京都内において災害が発生したことを想定し、理事間の連絡網が上手く回るのかを確認し、理事会後に災害について考えるグループワークを実施してきた。今年度は、『災害を考える日』をテーマに、当協会の災害支援規定(第3章)の再考の向け、委員と理事で意見を出し合った。
 「つたえる」を手に取って見てくださった皆さんは、災害支援規定が整備されていることをご存知だろうか。災害支援規定(第3章)には、災害発生時における体制が記されている。私たちは、職能団体の理事・会員であると共に、所属機関の職員・生活者でもある。災害場面や置かれている立場によって、災害支援規定に記載されている動きが取れないこともあるのではないかと考えていた。グループワークの中で、「発災時は、部長等の連絡を待たず、動ける協会員が動くという認識を持つのはどうか」「災害対策本部に理事が集まらなくとも、MCS(注1)など情報共有ツールを活用してみてはどうか」「職能団体として、災害時の現状把握できる体制を整え、協会活動・情報が広く社会に役立つことになる」等、多くの意見が挙がった。
 伝達訓練に参加して想うことは、“出来ないのではなく、フェーズによって職能団体の一員として出来ることがある”ということだ。近年、自然災害含め各地で災害が発生している。私たちMSWは、日頃の業務の中で、数々のネットワークや地域情報を持ち合わせている。日頃の業務で培われてきた資源を職能団体として集約し、災害支援に役立てられるのではないだろうか。災害支援は決して特別なものではなく、MSW支援の延長線上に常にあることを忘れてはいけないと思った。
 この10年間、その時々で出来る支援をこの委員会をはじめとし、当協会では行ってきた。委員会発足時より作り上げてきた支援のバトンを受け継ぎ、今求められている職能団体としての活動をこの先も考えていきたい。

(注1)MCS(メディカルケアステーション)
 「地域包括ケア・多職種連携のためのコミュニケーションツール」を指す。

[3] 災害支援対策委員会 振り返り

小菅英樹(若木原病院)

 災害支援対策委員会。当協会にある委員会ですがご存知でしょうか?
 どんな活動をしているのか?いつからあるのか?知らない方も多くいるかも知れません。
 先日(2021年11月20日)行われた研修会ではそうした事を知らない方々に知って頂くため振り返り会を実施しました。

 委員会の発足当初から関わってきた、というより発足させた武山さん(元都協会会長)、加藤さん(元災害支援対策委員長)のお二人に委員会の歴史、MSWが災害に関わる意味について語って頂きました。冒頭の質問に答えると、この委員会は東日本大震災を契機に作られ、被災者の支援、被災された地域のMSWとの交流を通じて様々な活動をしてきました。

 被災地への訪問、被災者への継続的な支援など様々な活動をする中で、もし東京で災害が起こったら、また、他の地域で災害が起こったらどのような支援ができるのか?MSWという医療と福祉に関わる専門職としてできることを学んだり、試行錯誤をしたりしながら活動を続けてきました。
 災害というのは日々行う業務とは少し異なる性質を持つので、大切ではあるけれど学んだものをすぐにフィードバックすることが難しい分野かと思っていました。それを10年間続けてきたお二人。

 武山さんは、MSWの持つ医療(命と向き合い)とソーシャル(他者と力を合わせ)とワーク(力を引き出す)の部分こそが被災者支援や災害の際に必要とされる適性だと語ります。
 加藤さんは現場を見て体験して、やらなければならないと感じたとのこと。心を動かし、MSWの特性を生かす。本質的な部分においては私たちの日常的に行っている支援と変わらないのかも知れません。

 被災という衝撃や困難、絶望の中で何が力となるのか?以前そんなお話を聞く機会がありました。また、被災地支援を行う中で他県協会の会員との交流や絆も生まれています。ご興味のある方は是非ご参加ください。

[4] 東京都MSW協会、宮城県MSW協会 共同研修会開催

平井隼人(西東京中央総合病院)

 災害支援対策委員会では、東日本大震災より10年の節目として、2021年12月11 日(土)に宮城県MSW協会と合同で研修会を行いました。
 冒頭で、宮城県MSW協会畠山会長より「災害は必ずどこかでやってくる、その際にMSWとして何ができるのか」との経験を踏まえてのメッセージを頂き、東京都MSW協会加藤委員より「決して忘れないこと 伝えてゆくこと 続けてゆくこと」のテーマで災害支援に携わってきた事を共有しました。
 講演では、臨床宗教師の髙橋悦堂さんより「苦悩のそばにあって〜東日本大震災と終末期緩和ケア〜」と題して、自身の経験談を通じての被災地支援での活動(火葬場での読経供養へのボランティアなど)、地域とともに生きていく意味、被災者への傾聴ボランティア活動などが話されました。髙橋さんは被災者の話を聞く中で、自身の心が追いつかない状態となります。自身の気持ちの変化を隠しながら活動する難しさ、辛さの中、ある光景を目にします。それは、「観音様に祈る人の姿」でした。「祈る姿」=取り返しのつかない、人間の力で何もならない時に自然に出てくる形であり、取り返しのつかない死者と繋がる手段が「祈る事」であることを発見します。そうした祈りの力を認識することで髙橋さんは救われ、活動する力を取り戻します。
 寺院避難所での葛藤する中では、月命日の供養を通して人々が繋がる経験から死別ケア(グリーフケア)としての力がある事を感じたこと。宗教的オブジェクトの存在や宗教者による儀礼は「祈りの力を強める」ことができ、祈りの意味はとても大きいものであること。などが語られます。
 また、髙橋さんは緩和ケアの場でも活躍されており、避けることのできない死の現実と向き合い、苦悩する人がいる中で、その場に何故、宗教者が出てこないのか。本来であれば苦悩される人の心を穏やかにし、支える役割を担う宗教者がいないことへの問題提起もしています。世間的にも霊的苦痛(スピリチュアルペイン)への期待感はあるが、公共空間においての実績の少なさ、宗教へのマイナスなイメージ、政教分離の考え、宗教者は死にいく人のイメージが強い、などの影響により支援に回ることがなかなかできない現状についても触れて頂きました。
 後半は、実践報告として石巻赤十字病院、伊藤茂樹さんより「石巻の復興〜10年間の取組」が語られました。平時より「既存の災害対策マニュアルの見直し」、「適切な情報伝達(基本情報)の大切さ」、「アナログ使用も含めた伝達ツールの検討の大切さ」など「情報を制する者が災害を制す」との貴重な内容を教えて頂きました。
 限られた時間の中でしたが、宮城県MSW協会のたくさんの方と交流ができたことはオンラインだからこそできる貴重な経験でした。今回の研修を踏まえて災害支援対策委員会としても「何ができるのか」を考え活動を続けていきたいと思います。

[5] 2022年度の災害支援対策委員会について

冨士川泰裕(康明会病院)

 2022年度委員会の活動内容は、大きく分けて2つのプロジェクトをメインとして活動しようと考えています。
 1つ目は、被災地域のMSWとの研修会です。被災体験者の語りは、臨場感があり言葉に重みがあります。まだ、災害研修を参加されてない方がいましたら、MSWとして成長できる場だと思いますので、参加されることをお勧めします。
 2つ目は、委員会で作成しましたマニュアル・ガイドラインの見直しを行ない現在に相応しいものにブラシュアップしていきます。いつ起こるかわからない災害、各地で常に起きている災害に対して勉強や準備していきたいと思っています。
 また、新たに災害支援対策委員募集を行っています。災害に少しでもご興味がある会員に、勉強できる場を提供したいと考えております。敷居は低く参加しやすい委員会になっており、会議は基本Zoomで行いますので、自宅や職場からでも参加できます。皆様のお手元に届いていると思いますが委員募集のチラシを最終ページに掲載しておりますので、応募お待ちしております。


[2022年3月16日宮城・福島震度6強地震について]  

 16日午後11時36分頃、宮城県と福島県で震度6強の揺れを観測する地震があり、この地震で気象庁は、宮城県と福島県の沿岸に津波注意報を発表しました。
 東京都も一部の地域で停電し、11年前の震災を思い出した方も多いのでないでしょうか。常に各地で災害が起こっています。自分事と考えて災害支援対策委員会として何ができるか考えていきたいと思います。

「つたえる」では、会員の皆様からのご意見を募集しております。震災と、その支援に関しての経験、意見や想い、伝えたいことなど、是非お寄せ頂ければ幸いです。字数など、特に細かい制限はございません。
ご寄稿下さる方は、都協会事務局にご連絡の程、よろしくお願い致します。
過去のバックナンバーは当協会のホームページにて閲覧可能です。

http://www.tokyo-msw.com/top_links/shinsai/tsutaeru/saigai_news.htm

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